受験生が勘違いしやすいのは,「この本を使えば○○大に…」と安直に考えてしまうことです。
そうではありません! 合否を分けるのは,「その本の使い方−内容の定着度」です。

その教材で学習する知識を定着させるためには,その本を1回終えた位で簡単に身に付くものではありません。1度学習し終えたことがらを,期間をおいてからもう一度やり直す必要があり,1周目,2周目,…と呼んでいます。
1周目も2周目も,数日後に「本当に解けるか? 勉強したつもりになっているだけではないか?」を確認することも大切です。

どの本を使うにしても,「わからなかった問題を自分ひとりでできるようにし,定着させること」が勉強であることを忘れないでください。

《STEP 1》 (基礎力養成期) に用いる参考書

高1・高2の前期までは「力を溜める時期」です。基礎の徹底なくして受験期の飛躍はありえません。 「受験期において本物の力を身に付けるために土台をしっかりさせること」これがリュケイオンのSTEP1用の参考書選びのコンセプトです。
そのために,入試典型問題の網羅性を重視して選定しました。

(参照)主要総合参考書の入試典型問題網羅度の分析…「数列」

書名 特徴 推奨使用法 注意点
ニューアクションβ I・A
(東京書籍)
基本典型問題,標準典型問題とも網羅度が高く,それらの演習用の問題も十分に収録されている。
STEP1 用の参考書として「リュケイオン一番のお薦め
1周目で「例題」+「練習」
2周目で「練習」の確認+「問題」+「Let's Try」という進め方が効率的。
実戦問題レベルである「Perfect Master」はSTEP1での学習には不向き。STEP2以降の学習で問題数が十分な教材を使用するのであれば,やらなくても構わない。
同 II・B
黄チャート数学 I・A
(数研出版)
典型題の網羅度も高く,入試初級応用問題も充実している。
1周目で「基本例題」+その下の「Practice」
2周目で「Practice」の確認+「重要例題」+その下の「Practice」+「Exercise」。
「基本例題」と「Practice」で入試基本典型題をカバーしているので,「Practice」をしなければ典型題を網羅できない。
1周目は「例題」だけ,という使用は避けること。
ExerciseにはSTEP1としては難易度の高い問題もあり,効率よく学習するには指導者に問題を選別してもらう必要がある。
同 II・B
理解しやすい数学 I・A
(文英堂)
 教科書内容の解説がある。教科書〜入試基本典型題に的を絞っており,基本典型題の網羅度は高い。  1周目で「例題」+「類題」+「練習A」
2周目で「類題」「練習A」の確認+「練習B」。
 入試初級の応用問題や入試標準レベルの典型題が少ないので,STEP2 で補う必要がある。
同 II・B
Z会数学基礎問題集
チェック&リピート I・A

(Z会出版)
その選題が指導者に高く評価されている入試基礎確認用問題集。
入試基礎問題の網羅性は言うことがない。
(数I・Aについては「実戦編」が出版されているが,そちらではない)
上記の参考書を進めていて,同じレベルの練習問題がもう少し欲しいと感じたときに。日頃,学校の傍用問題集などの問題を多くこなしていて,定着度に自身があるのなら必要はない。 参考書で勉強してこなかった人や参考書で学習していても復習を怠っていた人が手を出すものではなく,あくまでも日頃の学習の確認用。
同 II・B

  • 「理解しやすい」以外は,教科書内容の解説については書かれていないので,教科書を一通り読み,新出用語や定理,公式などの意味を理解した上で取り組んでください。
    教科書をお持ちでない場合は,教科書代わりとなる参考書として,「これでわかるシリーズ(文英堂)」をお奨めしています。
  • わからない問題に出会ったときに,20分も30分もウンウンと唸るのは,STEP1 での勉強ではありません。1分考えてわからなければ,すぐに解答・解説を見てから解き直しましょう。(「受験数学を学習する上での心得」参照)
  • 数学IIIC に関しては,市販教材の中に「先取り学習に適した本が見当たらない」という理由で推奨教材をあげておりません。数学III の早期学習については,『数学Vを速習しよう』 をご参照ください。


《STEP 2》 (応用力養成期) に用いる参考書

入試初級〜中級レベルの応用問題を演習することで,

  • STEP1 で解法を身に付けた典型問題が,実際の入試ではどのような形で出題されるのか?
  • 一見難しく感じる問題を,どのようにして典型問題に解きほぐしていくのか?

を学習すること,つまり,応用力を鍛えることが,STEP2 のテーマになります。
ですから,わからない問題はサッサと解答を見るというのは,STEP2 での学習ではありません。 少なくとも10分はウンウンと頭を唸らせてください。解法の糸口と思えるものが見つかったなら,何十分かかろうが,その考えを進めて答(と思えるもの)を導きだしましょう。

旧帝大や国公立医科大などの超難関志望ならば,このレベルも『典型題』となりますので,その解法をしっかりと定着させてください。

各単元の最初に STEP1 と同レベルの基本問題が収録されている本もありますが,“これは確実に解ける”と思える問題は,センター対策を兼ねて『どれだけ速く解けるか!?』に挑戦してみましょう。

  《 数学 I A・II B 》

書名 特徴 推奨使用法 注意点
標準問題精講 I・A
(旺文社)
中堅大学記述試験の標準〜難問レベルの良問を集めている。難関大理系志望者には標準典型問題集という位置づけ。
このレベルの本に見られがちな,例題と練習は別問ということは一切なく,「演習」はすべて直前の「例題(標問)」の考え方を使う類題が選題されている。
志望大学に依らず《応用力養成用》として,「リュケイオン一番のお薦め
「例題(標問)」の問題文の要点をノートに写し,解説(精講)・解答は見ずに考えてみる。5分考えて手が出ないなら解説・解答を見てから解き直す。その後「演習」の問題文の要点をノートに写し解いてみる。「標問」の解法で解けるはずだが,手が出なくても10分は考えること。 中堅大志望ならば文系理系とも,この本はSTEP2とSTEP3(実戦演習)を兼ねる。これを仕上げれば入試に十分に対応できるので,長期的に数回まわす学習計画を組んで,焦らずに1問1問じっくりと取り組んでもらいたい。
同 II・B
1:1 対応の演習
  (I,A,II,B 4分冊)

(東京出版)
STEP1と重複する基本問題が多く,STEP2 レベルの問題は良問が選題されているのだが,量的に十分ではない。
「大学への数学」の出版社の書籍だけに,正射影ベクトルなど,理系ならば知っておきたいことが多く書かれている。問題集というより参考書としての位置づけか?
「数B」の最終章『融合問題(数I A II B)』は難関大志望者はあたっておきたいところ。
高1からコツコツと受験勉強を始めている難関大理系志望者の,STEP1 の定着度の確認用の問題集,かつ,STEP2 の学習のための理論的土台作りとして,夏期や冬期の長期休暇中に短期的に集中して取り組むのがいいだろう。 I,A,II,B に分冊されているが,収録問題数は決して多くはないので,日常の学習用ではなく,短期に集中して取り組むべき本と考えた方が良い。
理系数学の良問プラチカ I・A・II・B
(河合出版)
入試標準レベルの I,A,II,B の問題を1冊にまとめてある。
難易度は,入試標準。レベルが絞られているので問題数がIAIIBで150問と少ない。
中堅大理系志望の方に。文系の人でも国公立志望ならここまではやっておくべき。 STEP2.5といった感じ。時間的余裕があれば,標準問題精講の後あたりに,入試標準レベルを固めるために使いたい。


  《 数学 III・C 》

高1から先取り学習をしていても,現役生の場合,数IIIC にかけられる勉強時間には物理的に限界があります。
そこで,数 III・C の教科書内容の先取り学習が終った人を対象に,STEP1とSTEP2 の入試基本〜標準レベルの学習を1冊で対応できる教材として,以下のものをお奨めします。

書名 特徴 推奨使用法 注意点
1:1 対応の演習 III
(東京出版)
両書とも,教科書レベルの問題は少なく,入試基本・標準の頻出問題ばかりを選題してある。
現役生にとって問題数も手ごろ。
数III については,教科書内容の先取り学習が終わり次第,遅くとも高3の夏休みを迎えるまでに終えておかねばならない。
数II の知識が定着しているならば,1ヶ月で終らせることは可能である。
数C については,先取りはあまり意識せず,学校の授業が終ったものから順次進めていって良い。
第1章『極限』は後回しにし,先に微分とその応用,積分とその応用を終える。
このレベルはまだ応用問題ではないので,解法を覚えるSTEP1の学習ととらえ,わからない問題はすぐに解答・解説を見ること。早期に一通り終え,数IIIの入試基本・標準レベルがどの程度のものなのかを知ることが最大の目標。
標準問題精講 III・C
(旺文社)


《STEP 3》 (実戦演習期) に用いる参考書・問題集

この段階になると,志望大学・学習時期・他教科の学力などによって,使用する教材は人により千差万別となりますので,各自で判断してください。

『定番』と呼ばれるものの書名のみ列挙するに留めておきます。

  • 「やさしい理系数学」(河合出版)
  • 単元別問題集「こだわって」シリーズ(河合出版)
  • 「理系入試数学の核心」(増進会出版)
など