「DVD数学教室」 製作の意図

 「ゆとり教育」の名の下に,ここ十数年で数回行われた学習指導要領改定は、全教科に渡りそれまで小学校で学習していた内容を中学校に、中学内容を高校へと、 どんどん先送りしてきました。ところが、高校で教わる内容は十年前と比べていくつかの単元はなくなりましたが、小・中学校からの持ち上がりがあるため、全体量はさほど変化していません。 大学入試で問われる範囲・難易度も、十年前と比べてさほど狭く簡単になったわけではありません。つまり、小・中学校の学習内容の「薄さ」に比較すると、高校内容は相対的に「厚く」なっています。
 中でも高校2年で学習する「数学2」+「数学B」は、指導者からも「内容が多すぎる」という声が上がるほど重厚になってしまいました。高校1年で中学内容であった「高校数学の基礎」を学習しなければならなくなったため、以前までは高校1年・2年の2年間で学習した「高校数学」のほとんどの内容が、高校2年生の1年間に圧縮されてしまったのです。

 高校で学習する内容が昔より相対的に「厚く」なったのに反して、学校での授業時間数は減っています。1回の授業の密度が濃くなるのであればまだいいのですが、私の知るところでは、教科書内容でさえ軽く読み流す程度で、演習する時間などとれていない学校もあるようです。

 このような状況に加え、京都大学は2006年入試から、現行の教科書では学習しない内容(空間図形の方程式など)を出題する。多くの高校では文系を選択すると履修できない数学Cを文系学部の入試科目に加えると発表しました。これは、10年前の「代数幾何・基礎解析課程」時代の入試科目に戻すことを意味します。質ある教育を望むならば、学生にも質を望むという京都大学の主張も尤もだと私は思います。大学生の学力低下は社会問題になっていますから、他の大学も追随するかもしれません。
 そうなれば、 それらの大学を志望する高校生にとって、高校で学習しなければいけない内容は、今までの小・中学とは比較にならない位、膨大な量になってしまいます。もちろん、高校数学ですから、教科書内容といえども、中学より難しいのは言うまでもありません。

 大学全入時代を迎え、ただ学生数の確保のみを考える大学も現れてくるでしょう。そのような中で毅然と「落とすための入試」を続ける『大学』に合格するためには、 小・中学校での「ゆとり」のつけを、高校で払わなければいけないというのが、ゆとり教育の実態なのです。

 私は上述の理由から、現行の指導要領を遵守して高校1年で数学1・Aを、高校2年で数学2・Bを学習しているようでは、そのような『大学』の入試には間に合わないのではないか、高校1・2年生の間は、学校授業を先取りして自分で学習していかなければいけないのではないか(できれば中学3年生からが理想)、との危惧をいだきました。

 実際に、『勉強は自分でせねばならない時代になった』ことを承知し、独学で学校の先取り学習を進めている中学生・高校生がたくさんいることを私はHPを通じて知りました。しかし、授業なしの教科書・参考書だけでの独学には不安が付きまとうことも否めません。
 また、高校1・2年の間、高校を小・中学校と同じように「ゆとり」ある勉強で大丈夫と、学校任せの勉強を続け、いざ受験学年になって模試や志望大学の過去問にあたって自分の学力のなさに呆然として、「自分で復習しよう」と決意したものの、学校で過去の1・2年内容の授業が受けられるわけもなく、何からしたらいいかわからないという声も聞きます。

 そこで、そのような自主的勉学心旺盛な高校生・受験生に、「授業」を提供しようと『DVD数学教室』の製作に取り掛かることを決意しました。
『DVD数学教室』が、「自分で勉強する」高校生・受験生の一助になれば幸いに存じます。

受験研究舎リュケイオン 代表 新矢 浩司

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