参考書は独学速習には向いていない

では,参考書はどうでしょう。

基本事項の学習に主眼をおいた参考書については,微積分計算については,教科書よりは解かりやすいのですが,基本問題しか扱っていません。私達が解析したところ,入試に必要な微積分の計算パターンは 30数種あるのですが,このレベルの参考書では基本的な 10〜20 パターンしか扱っておらず,1冊では入試に対応できません

そして何よりも,例えば, は,同じような対数の積分なのに,前者は置換積分,後者は部分積分という計算をするので,教科書・参考書では別々の節で学習します。 しかし,真の計算力を身に付けることとは,対数が含まれる積分にはどういうパターンがあって,そのパターンごとにどう計算すればいいのか?  ということを定着させることではないでしょうか? 私達が知るところ,そのように関数ごとに体系的にまとめてある参考書はありません。

さらには,実際の入試で出題されるのは「微分の応用」「積分の応用」ですが,これらも基本問題しか扱っていません。これも編集方針として仕方のないこととはわかっているのですが,私たち指導者が『入試においては,ここまでは基本だろう』と考える問題が数多く抜けています



入試問題を解くことを目的に書かれた実戦的な参考書は,速習カリキュラム第1ステップである,微積分の計算については学校・塾などで一通りの学習を終えた人を対象にしたものが多く,問題数が少ないうえ,説明も詳しくなく,微積計算のまったくの初心者にはあっていません。

また,“数列の極限”や“平均値の定理”,“定積分と数列”などは,実際の入試では,これらは微積分の融合問題として出題されることが多いため,発展レベルに分類されるべき内容だと考えます。ゆえに,数IIIを一通り終えてから第2段階で学習する方が効率的でかつ理解しやすいのですが,“融合ではない単独の問題=入試ではあまり出題されない形”で掲載されています。これは理論重視の教科書配列に縛られているため仕方のないことなのですが,速習用教材としてみた場合,無駄が多いということになります。



上記2種類の参考書を両方用いれば,数IIIの教科書内容から入試基本事項までの独習は可能かもしれません。しかし,参考書2冊の全問をやっていては無駄が多く速習にはなりません。どうしても問題を選別する必要がありますが,数IIIの入試問題について何も知らない初学者が自分で判断するのは危険すぎます。



皆さんが高校3年生の春を迎えた頃,ライバルである浪人生・中高一貫校生は数学III に限らず全科目において入試の少なくとも基礎力は身についているはずです。最も短期間に速習が可能な数学III だけでも一刻も早く追いつきたいところです。しかし,その最初の1歩の教材がありません。のんびりと学校の授業を待つしかないのでしょうか?