数学III 理想的速習カリキュラム

先述したように,数学III 微分積分の教科書レベルの学習は1日でも早く終了して,入試レベル問題の演習に移らなければなりません。 浪人生や中高一貫進学校生にとっては既に学習済みである教科書内容を早く終えるということは,何より心理的にメリットがあります。

前節で述べた,“接線問題”,“極値問題”,“面積”,“定積分で表された関数” などの,数学II ですでに基本的な考え方を学んでいる単元は,入試頻出でもあります。 もっともこれらの単元にも,数II の考え方だけでは対処できない入試基本問題もありますが,それらも含め基本典型問題を網羅し,早期に入試基礎を完成することで入試レベルの問題を十分に演習することにより,確実な得点源としたいところです。

この他にも「平均値の定理」など数III 特有の内容はありますが,数学III 初学者にとっては上記の入試頻出の内容を十分演習した後に学習した方が実戦的であると考えます。

微分積分は,数IIの微分・積分→数IIIの微分・積分という学習順が一般的ですが,
   数II 微分→数III 微分→数II 積分→数III 積分
という順序でも,支障なく学習を進めることができます。ですから,数IIの微分法が終わり次第,数IIIの先取り学習を開始するのが最も理想的です。

そこで私達は次のような2段階の『数学III 速習カリキュラム』を提案します。

  • 第1段階 (遅くとも高3の夏までに終える)
    • 微分・積分の計算法を短期間で習得する。
    • 「微分の応用」「積分の応用」の中で,数学II でその基礎となる考え方を学んでいるもの,つまり“接線問題”,“極値問題”,“最大最小問題”,“微分法の方程式不等式への応用”,“面積”,“定積分で表された関数” などの頻出単元の入試基本・標準問題を解けるようにする。
    • 数学III で初出である“体積”,“曲線の長さ” についても入試頻出であり,内容は公式を使うだけの計算問題であるので,同様に入試基本・標準問題が解けるようにする。
    • 「関数の極限」については「微分の応用」でグラフを描く際に教科書内容の知識は必要となるので,グラフについて学習する前に教科書・参考書を読んでおく。
      「数列の極限」は,入試では微分積分と融合されて出題されることが多く,第2段階で学習するのが効果的です。
  • 第2段階 (遅くとも高3の10月まで)
    • 第1段階で学習を終えた入試頻出単元については,発展レベルの問題の演習を積む。
    • 第1段階でとりこぼしている「数列の極限」や「微積分の応用」の“平均値の定理”,“区分求積法” などの学習を進め,入試基本・標準問題が解けるようにする。

遅くとも高3の10月までに,数III 微積分の頻出単元については入試標準・発展問題が,それ以外については入試基本問題が解けるようにし,時間に限りのある受験勉強において,10月以降は数学III 微積分の負担を減らし,数学III 複素数平面や理科の学習,センター試験対策に,より多くの時間を割き全科目の総合力を上げるという戦略です。